私はここ数年の間に三回も日本へ訪れるという機会に恵まれました。一回は東京の日仏会館の招きで、一回は私が作者を務めた映画の封切りに合わせて、もう一回は「国境なき医師団」がノーベル平和賞を受賞したときに読売新聞の招きで訪れました。東京、大阪そして福岡に赴き、ナチのアイヒマンが犯した犯罪について私が作製した映画『スペシャリスト』を上演し、このテーマについて私が書いた本『不服従を讃えて〜「スペシャリスト」アイヒマンと現代(産業図書 , 2000.0125 →→『Eloge a la desobeissance』)』のことを話しました。人道援助活動についての講演を、私の著書『「明日への対話」人道援助,そのジレンマ〜「国境なき医師団」の経験から(産業図書 , 2000.1110 →→『Humanitaire, le dilemme: entretiens avec Philippe PETIT』)』の日本語版が出版されたときと、それから読売新聞から要請あったときに行いました。毎回、大学教員、学生、日本のジャーナリストの方々と興味深い対話をすることが出来ました。それは私にとって大変素晴らしい思い出となっておりますし、それ故に、今回また、ヴィデオコンフェロンスを通してこのような機会に恵まれますことを大変光栄に思います。
 私は1977年に学業を終えた時、人道活動に身を投じました。なぜならば、医師という職業の実践を通して、自分の国に閉じこもっていては知り得ない他の地域の人々、そして様々な問題を体験してみたかったからなのです。当初は経験を積むために数ヶ月費やすつもりだったのですが、次第にこの活動により強い魅力を感じるようになっていったのです。というわけで、アフリカやアジアの諸国(特にタイとインドネシア)に数年に渡って滞在することになりました。「国境なき医師団」は、私が1982年に会長に就任したときには本当に小さい団体でしたが、私が会長を務めた1994年までの12年の間に次第に大きくなり、私がそれに多く貢献できたことは、大変な幸せだと思っております。後半の10年間は、この活動が集団として上手く機能するように努力しました。このような試みをするにあたって、特に、人道援助を実行する上での条件、そしてその限界や矛盾点と向き合うことを余儀なくされてきました。
 ヴィデオコンフェロンスという技術を通して、私の試行錯誤を多くの人に伝えることが出来る機会が与えられることを大変嬉しく感じています。この技術のおかげで、私たちを隔てている距離が瞬時にして縮まり、私がかつて非常に実り多き意見交換をした日本の聴衆の皆様と再びお会いすることが出来るのです。それでは開催の日を、最初の来日時から変わらずに抱き続けている関心を暖めながら、心より楽しみにしております。
2004年11月、パリ。

 ロニー・ブローマン、1950年エルサレム生まれ、医師、流行病学及び熱帯医学の学位を修める。1977年より、国際医療援助活動に携わる。数年に渡りこの活動に医師として従事した後、1982年に「国境なき医師団」の会長に就任、1994年まで務める。現在でも会員として名を連ねている。
 彼の活動領域は主に、軍事紛争、飢饉、難民など危機的状況に曝されている人々への人道医療援助であり、それはまさしく「国境なき医師団」の活動領域とも重なっている。第三諸国に滞在し仕事に携わるなか、彼はその活動領域を国際援助が行う様々な側面へ向けて広げていった。?
 パリ第7大学において、人道活動のDESS*を創設。現在ではパリ政治学院 (IEP Paris) 客員教授。

*DEAと同じく日本の修士課程もしくは博士前期課程に当たる大学院のコースであるが、DEAと違ってその後の博士後期課程が設けられておらず、研究者養成ではなく、高い専門知識を持って社会で働く人間を養成することを目的とする。

-- L'action humanitaire, Flammarion, coll. Dominos, reedition sept. 2001.
-- Humanitaire : le dilemme, Textuel, coll. Conversations pour demain, reedition janvier 2002.
-- Eloge de la desobeissance ( avec Eyal Sivan ), Le Pommier-Fayard, mars 1999.
-- Utopies sanitaires, (dir.), - Editions Le Pommier-Fayard, 2000

Films
-- La pitie dangereuse (avec Francois Margolin, realisateur), documentaire d'archives, 80 mn, 1996. Une histoire de l'aide humanitaire, sous l'angle de ses rapports avec le pouvoir et la violence.
-- Un specialiste, portrait d'un criminel moderne (avec Eyal Sivan, co-auteur et realisateur), documentaire d'archives, 128 mn, Selection officielle, Festival du film de Berlin, 1999. Un portrait d'Adolf Eichmann, inspir du livre d'Hannah Arendt "Eichmann a Jerusalem, rapport sur la banalite du mal" et realise a partir des archives video du proces.
-- Scalpel (avec Eyal Sivan, realisateur), collection de 12 Emissions (12x45mn) sur la sante publique, diffusse en novembre decembre 2001 sur Arte.
-- Ces brevets me rendent malades (avec Gerard Lafont, realisateur, et Anne-Christine Roth), documentaire, 52 mn. L'Epidemie de Sida en Afrique. Diffusion sur France 5 novembre 2003.